地中に埋めた壺みたいなもの

有益なものは何一つございません

月の話

一緒に歩いて、満月を見上げた。

私はこれから月を見る度に、じゃらりという鎖の音と辛口のはずのお酒の甘さを思い出すんだろうなぁ。

文章にすると綺麗だけれど、これは時間がたつごとに徐々に辛くなっていく毒。いまはまだ甘くても、満月を重ねる毎に苦味の比率が増えていく。

一夜の幻にしたかったのにしっかりツーショットで私のスマホ証拠写真を残すし、ついでに顬にキスしてくるし、お手手繋いでくれるし、最後の一口アレだし、別れ際にマスク越しのキスくれるし、満月の君はなかなかにタチが悪い。

もうここまできたらリアコと言われても否定できなくなっちゃったつらいよう。